2026年4月・5月とそれぞれ定例勉強会を行いました。
神経・静脈・リンパの機能の重要性を改めてシェアした2日間でした。
最近TKAのオペ後の患者さんを立て続けに担当したのですが、
多くの方に共通して生じる問題は下記のようなものが多いのではないでしょうか?
①浮腫の改善に時間がかかる
②下肢の筋肉を収縮させることができない
今回は勉強会の内容の一部であるTKA後の浮腫と筋収縮不全、2つのアプローチで改善が早まった内容をシェアします。
①浮腫の改善に時間がかかる
循環の状態が悪いと・・・
炎症物質が滞留したり、軟部組織が癒着したりと問題が増えてしまいます。
3週間固定すると組織の変性が進み、改善がかなり大変になるなど昔聞いた記憶がありますね。
これは、不動(Immobilization)による関節拘縮や組織変性を証明した「Akesonらの研究」などでも広く知られている事実です。
私はリンパドレナージ(Vodder Method)を学んだ経験から、外傷やオペ後など炎症所見のある人には必ず排液を促す様に介入するようにしていました。
必ず頸部(左鎖骨下リンパ節)から排液を行うことで、オペ直後でもリンパドレナージにて大腿部の周径が大幅に減ることもありました。
最近はそれだけではなく、静脈や神経系のアプローチも追加することでよりスピーディーに改善することを経験しています。
特に奇静脈や下大静脈周囲の結合組織などの部位の緊張を取り除くことで腹部や下肢の腫脹や質感がかなり変わるので、下肢だけでなく全身を評価するのが重要となってきます。
現在はどのような病名・疾患の方であっても、循環に関わる部分は必ず確認するようにしています。
まずは左鎖骨の後ろ(胸郭上口)の硬さを左右でチェックしてみてください。下肢に炎症症状のある方はおそらく左側に硬さや圧痛を認めると思います。
その場合は左鎖骨周辺のマッサージを、自主トレとしてお伝えしてもよいですね。
②下肢の筋肉を収縮させることができない(腰部や大腿筋膜張筋で代償)
術後の痛みや腫れによって、脳や脊髄レベルで筋肉にブレーキがかかってしまう現象は、「関節原性筋抑制(AMI)」として知られています。
古くから言い伝えられるパテラセッティングですが、古いからと言ってバカにできません。AMIの状態を評価することについては重宝します。
左右で比較してもらうと、かなりの違いを自覚してもらえます。
内側広筋などがしっかりと働かないというのは、大きな問題です。
実際に膝に問題がある方の一定数には片脚立位やランジ動作をしても内側広筋などが働かない方がいらっしゃいます。
この「神経的なブレーキ」を解除するために、今回おすすめする対策としては下記の2つです。
❶反対側の上肢の動き
❷目の運動
❶反対側の上肢の動き(神経のつながり・反射を利用する)
左膝が悪ければ、右肘を曲げて等尺性収縮させた状態で保ってもらい、そのままパテラセッティングをしてもらってみてください。(右膝ならば左肘)
オペ直後の腫脹など、構造的な問題が強すぎる場合は改善はイマイチですが、AMI(神経的なブレーキ)の要素が強い場合は、かなりの変化を自覚してもらえます。
これは神経科学における「クロスエデュケーション(交叉性肢位効果)」や、「脊髄反射弓(寝返りや歩行時の相反性神経支配)」を解釈したものです。
❷目の運動(視覚系からの入力からアプローチする)
以前お伝えしたように、目の運動が有効な場合があります。
脳幹の機能は抗重力活動や痛みの感じ方と密接に関連しています。
上記2つのどちらかやってみることで、
歩いていると膝がガクっとするという人にも、膝が安定するということをよく経験します。
おわりに
同じ病名や術式でも、背景にある問題次第で反応は変わりますので、すべての方への効果を保証するものではありません。
あくまで神経系(脳幹や脊髄反射)を介したアプローチとしての仮説に基づいた実践ですが、臨床のヒントになれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!

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